だから僕は、Hができない。~カエサルの煩悩~ 第十一話公開です

明日はもうコミケです。

もうあとちょっとでお正月です。そんな中、今年最後の宣伝になります!

だから僕は、Hができない。 ~カエサルの煩悩~   -ファミ通コミッククリア 第十一話

公開となりました!

いや、俺が努力したってよりは東雲龍先生のおかげなんですがね。

本編じゃちょい役だったキュールのお父さんシゲイルが大活躍ですよ! 嘘ですよ! いやある意味大活躍ですよっ。

おかげでキュールやフィオナが、アレコレ、あはん。な、第十一話でありますが、そろそろお話も動き出してまいりますので、よろしくお願いします!

あと昨日のブログにもあげましたが、 【1日目R24bはらへ】さんに一昨年に出した『A Day In The Girl’s Life』を委託してあります。あの人達が持って行くの忘れない限り、あるはず……です。たぶん500円。

こんなヤツ。よろしゅう。

楽しい時間。幸せな時間が終わった。
あの人は私の側から去ってしまった。
私が悪いの?
違う。違う。違う。
あの男は女が欲しかっただけ。
男は女が欲しいだけ。
あいつらは、ただセックスしたいだけ。
自分の穢らわしい欲望を吐き出したいだけ。
私はその贄の一人になっただけ。
ああっ。
この世の中から、あの穢らわしい男が消え去ってしまえばいいのにっ。

■序章

 解放歴四十七年の冬は寒かった。
強い寒波の到来で、身を切るような寒さがもう一ヶ月ほど続いている。その証拠に今日も昼過ぎには、厚く灰色の雲から雪がちらほらと舞い始めていた。
その冷たい雪が舞い散る中、一人の少女がコーラストリートをきびきびと歩いている。
大人達は気象予報が外れただのと噂しているが、そんなことは少女には関係なかった。一つには彼女がまだ正真少女といえる年齢だからだ。その体は若々しい熱さに満ちていて、粉雪が側を舞うだけで溶けてしまいそうだ。
もう一つには、少女のきびきびと歩く姿はまるで跳ねるようで、その動きを支える四肢は若々しくスラリと伸びていて無駄な贅肉など欠片も感じさせない。
何よりまとっている雰囲気が若々しい。
周りの大人達、少年少女達までもが雪の舞い散る中で、化繊のセーターの上に厚いコートを着込み、手袋に包まれた手を擦り合わせながら、その身を縮ませるように歩いている中で、少女は一人背筋を伸ばして前をまっすぐに見据えて歩いていく。
その姿は、古い言葉にある『子供は風の子』という諺を思い起こさせた。
もっとも、子供の元気や個性といったものが必要とされなくなった、重要とされなくなったこの社会では、少女の姿は奇異なものでしかなかった。
誰もが差別なく区別なく同じ姿、同じ考えをすることが美徳なのだ。
実際、彼女は変わり者として有名――たぶんに悪名だが――だった。
少女の名はキャロル、十三歳だ。
正式な名乗りとしては『解放歴三十四年東三のキャロル』となるが、キャロルはその名乗りがどうにも無機質な、まるで工場のシリアルナンバーのような気がし て嫌いだった。革命が起きる前に存在したファミリーネームに密かに憧れているのも、彼女の自分のフルネームへの忌避からかも知れない。そんな憧れが先生達 に知られでもしたら、間違いなく一週間は特別カリキュラムを組まされてしまうが!
いや、一週間では済まないかも知れない。
キャロルが突飛な、模範とされるものとは異なる行動を取るのは、決して珍しくないからだ。
彼女が最初に特別カリキュラムを組まれたのは、スカートという衣服を着てみた時だった。歴史の授業で見た女性の服装を、キャロルは素直に可愛いと思った。 だから自分で作って着てみたのだ。その姿に、先生達は目尻をつり上げて、今にも卒倒しそうな勢いで怒り狂い、彼女を特別カリキュラムに放り込んだ。
もっともそのカリキュラムはキャロルに、スカートが女性の象徴として性差別を産んだ悪しき旧弊であると教え込むよりは、男の子と女の子が違ってもいい時代があったことを、より印象づけただけだった。
その後も何度か先生達の目尻に皺を刻み込んできたキャロルだが、極めつけはその読書癖から来るものだった。